こんにちは。のだたくです!
今回は映画好きの父に勧められ興味を持った映画「砂の器」について、レビューしていきたいと思います。
砂の器とはどんな映画?
[監督]:野村芳太郎
[原作]:松本清張
この映画をシンプルに表現すると
「ミステリー殺人事件×ハンセン病差別への警鐘」
であると感じています。
まずはおおまかなあらすじを説明します。
ある夜、60代と思われる身元不明の男性の遺体が発見される。
主人公の刑事、「今西栄太郎」と「吉村弘」は調査を行う中で、死ぬ間際にこの男がバーで別の男と話していたことが判明。そこから数少ない手掛かりである東北訛りの話し方と「カネダ」という単語を手にする。その単語から今西が秋田県にある地名を見つけ、向かうもヒントはなく捜査は難航する。
その後しばらくすると被害者の養子が見つかり、身元不明の男性が、非常に慕われ、非の打ちどころのない元警察官「三木 謙一」であったことが判明する。警察という職務上、恨みをかったのではないかと仮説を立て調査するもわかるのは被害者が良き人格者であり、周囲から尊敬されていたことのみ。彼が逮捕した犯人からも感謝されている状況で、恨みを買う相手などいないのではないかという結論に至る。
そんな時、独自に調査を進めていた若手の吉村がひょんなことから返り血をあびたシャツの所在を突き止め、被害者との接点から「本浦 秀夫」という男へとたどり着いてゆく。
本浦は幼いころ、父がハンセン病になったことで母が去り、村の中の行き場をなくしたため父と二人で村を出て放浪の旅に出る。周囲から迫害を受け、過酷な旅路の果てに出雲にある「カメダ」という村にたどり着き、当時警官であった被害者の三木に手厚い待遇を受ける。
父と別れ一人残された幼い本浦をみた三木は彼を養子とし、引き取る決意をする。しかし本浦は村から逃げ出してしまう。その後、本浦は大阪でとある商店で下働きをするが空襲でかわいがってくれた店主夫婦をなくす。その際にハンセン病の父との過去を消し去るために戸籍を書き換え「和賀 英良」として生き、数年の時を経て世間を風靡する音楽家にまで成長していた。
被害者三木は成長した本浦とバーで再会するが、自身の過去を知る唯一の人物であるとして、本浦は三木を殺害したのであった。
感想
熱心な刑事が難解な事件を解決するストーリーは、解決に向かうプロセスそのものを十分に楽しませてくれます。事件解決に向かう中、明らかになっていく犯人の背負う過去。そこからは音楽を生業とする犯人の「宿命」(犯人が作曲する曲名も「宿命」)の意味が紐解かれていきます。この点も見逃すことはできない、魅力的な点になっています。
しかし、この映画の神髄はそこではありません。
この映画は犯人の生い立ちを通して、ひとつの大きな社会課題に一石を投じています。
それはハンセン病患者が周囲から虐げられ、差別されている現状です。
ブログを執筆している現代において、ワクチンが開発されているハンセン病はそれほど危険視されるものではなく、差別があるという現状も感じないと思います。
しかしこの映画が創作された1970年代はハンセン病に対する差別意識がまだ残っていたと考えられます。
そのような当時の社会に対し問題提起するこの作品はコンテンツそのものに対してはもちろん、社会的意義があるという点において非常に評価できる作品ではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか!
今回は内容がシビアなだけにまじめに書いてみたつもりです笑
当時の時代背景や「差別」という人間の汚い側面に焦点を当てるこの映画は非常に奥深さを感じさせてくれました。
興味のある方はぜひ映画や小説を読んでみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!